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TPPでなくてもよかった ニュース記事に関連したブログ

2011/11/12 17:21

 

 TPP協議への参加については、野党は勿論のこと、民主党内にも反対が根強く、首相も表明を1日遅らせたり、記者会見では農業の保護・強化について出来る限りの努力を約束したが、事はそれほど簡単ではない。

 

 首相によると、「農業を守り抜くために、昨年10月に首相官邸がまとめた『食と農林漁業再生推進本部決定』に基づいてやっていくという。しかし、その内容は抽象的かつ総花的で、実現可能性も疑わしい。

 決定では、農林漁業を守るための7つの戦略を掲げているが、そのうち問題のコメにかかわるものは1項目だけで、その内容も、経営規模の拡大を目指してコストを下げるという、あまりにも陳腐化したもの。

 

 2010年現在、60キロ当たりのコメの生産費は、平均で16000円。作付面積0.5ヘクタール以下の経営体では、24000円。15ヘクタール以上の大規模経営体では9000円になる。

 一方、アメリカ米の60キロ当たりの輸入価格は約4000円。

 現在はこの輸入価格にキロ当たり341円の関税が掛るので、60キロ当たりの価格は24000円以上になり、どうにか国内産の平均価格を上回っている。

 しかし、関税がゼロになれば、仮に全国の経営体を15ヘクタール以上に集約したとしても、輸入米が半値以下になり、国内産のコメは価格的には全く競争できなくなる。

 

 ただ、コメについては、ブランド米が好まれるように、関税が自由化されてカリフォルニア米がどっと入って来ても、一定の国内生産は残るはずで、政府としてはその部分を少しでも大きく残すほかはなさそう。

 これまでのFTAEPAでは、コメの関税は聖域として残す事が出来たが、今回のTPPはシンガポールなどの実績が示すように例外なしの同盟なので、少なくとも聖域とするのは不可能。

 せめて、関税を一挙にゼロにするのではなく、時間をかけて段階的に引き下げるように条件闘争して行くしかなさそう。

 

 しかし、それならば、はじめからTPPには参加せず、韓国のように地道に2国間協定を締結して行く方が、摩擦も少ないし、時間的にも早くなるのではないか。

 

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イタリアが破たんする? ニュース記事に関連したブログ

2011/11/06 16:59

 

 一連のイタリア関連の報道を見ると、まもなくイタリアがギリシャのようにデフォルト寸前になるが、その負債の大きさはギリシャの比でないから、イタリア国債を多く抱えているフランスやドイツの金融機関も破綻し、EUそのものが今にも崩壊するような論調。

 

 とりわけ、フィナンシャルタイムズ紙は、社説でベルルスコーニ首相とギリシャのパパンドレウ首相との類似点を並べ立て、唯一の違いはその負債の大きさだと、即時退陣を求めている。

 

 どの記事も、イタリアの公的債務が1.9兆ユーロにのぼり、GDPの1.2倍に達しているから、その財政構造は危機的で、それが証拠にイタリア国債の金利が6%という異常な高さになっており、借り換えも含めてこれ以上国債は発行できず、したがって、これまでの国債の返済も不可能という書き方。

 

 いっぽう、アメリカフォーリン・アフェアーズ・レポートには、イタリアの経済学者のレポートが出ている。 これには、確かにイタリアの財政事情は指摘の通りだが、イタリア国債を最初に売り始めたのは、国債の多くを保有するイタリア人で、むしろその理由は、経済事情というより、ベルルスコーニ政権の不安定さに対する不信だといっている。

 

 イタリア経済は「奇妙な状況」だという。 

「経済成長は低調ながらも、財政赤字はGDPの10%以下で、巨大な対外債務に苦しんでいるわけでもない。イタリア国債を引き受けているのは主にイタリア人で、人々は今後も国債を買い続けるはず。そもそもプライマリーバランスは黒字なので、2014年には財政も均衡に向かう」にもかかわらず、国債市場で混乱が起こり、世界はイタリアが明日にも破たんするような報道を続けている。

 

 イタリアは、古来戦場となって人々は苦しい生活を強いられることが多く、一貫して支配層を信用してこなかった。

 そのためか、政権はずっと短命続きだったが、ベルルスコーニ首相は、そのなかでは長期政権。メディア王というビジネス界での高い評価も相まって、かなり人気のある首相だった。

 しかし、周知のように、発言や行動が奔放すぎ、経済成長がゼロになって不況回復の兆しもないことから、ついにイタリア人も堪忍袋の緒が切れたのではないか。

 

 そこで、ベルルスコーニを退陣させるために、自らの保有する国債を手放すなど、一時的な危機を作り出しているのではないかとさえ思える。しかし、市場や世界は、そうは受け取っていないようだし、このままでは自らの首を絞めてしまうことになる。

 経済状況は言われるほど悪くないのだから、政治が安定しさえすれば、危機は回避できるはず。

 ここはやはり、ベルルスコーニ首相が退陣し、フィナンシャルタイムズが指摘するように、「テクノクラートによる内閣」を組織して、内外の信用を取り戻すべきかもしれない。

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納得するまで介入とは? ニュース記事に関連したブログ

2011/10/31 17:09

 

近々野田首相がAPECハワイへ行き、オバマ大統領はじめ各国首脳と会うのに、円をこのままにしてはいけないという判断で介入したのだろう。

ちょうど週末に円が75円半ばまで上がり、今朝は早朝豪州で75円31銭をつけたこのタイミングを逃すわけにはいかなかったのかも。

 

早くも3兆円使ったと喧伝されているが、前回が4.5兆円だそうだから、これを超える大規模介入になりそうだ。

午後、79円17銭でレートは2時間ほど膠着し、財務省の意思を感じた気もするが、欧州タイムがあと1時間超で始まる夕方には、78円後半まで上昇した。財務省がちょっと手を緩めるとすぐに上昇するなら、単独でいくらつぎ込んでも、やがて元に戻る可能性はある。

その間に、メーカーの交渉が行われてレート改定でもあれば、政策効果があったといえるが、なかなかそうもいかないのではないか。

 

世界で1000兆ドルを超える金融取引が行われている現在、多少の介入では効果がないというのが一般的な印象。年末までに1ドル60円になるという、専門家の意見も、あながち空想ではないように思える。

 

ユーロの問題は、あくまでも欧州通貨同盟の中の話で、アメリカや日本あるいは中国の積極的な資金供給を狙っていたドイツやフランスの時間稼ぎの面もあったと思うが、すべてがクリアーになったとはいえないにしても、借金の棒引きや資金供給の拡大など、一定のめどはついたのではないか。

 

それにしてもユーロは、いつ同じような問題が起こるか分からない危険性があるし、ドルは、リーマンショック以降供給過剰で、需給から見ても基本的にドル安にならざるを得ない構造。

すると、円しか投資先がなく、政府がいくら介入しても巨大な世界需要のなかでは、効果は限られる。

 

今、世界経済を引っ張って行っているのは中国だと多くの人が認識し、中国自身もそう言って胸を張るなら、ここは中国通貨の国際化を日米欧で働きかけ、通貨ショックを中国のカネで吸収するシステムを作るしか、円高対策はないのではないか。安住財務大臣が納得出来る状態が来るとは思いにくい。

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ドイツ、フランスの本音は…?

2011/10/14 19:12

 

 

ユーロは、今回の危機の中で乱高下。

1週間で7円もの値動きをフォローするだけでも相当な集中力が要請されている。米欧の要人の発言や、株式市場のわずかな動きに相場が反応し、不安定な市場が継続している。

 

今焦点は、ドイツフランスなどEUの主要国が、ギリシャの債務危機を救済するかどうかと言われている。

しかし、仮にギリシャがユーロ圏から離脱しても債務は依然として残るし、これを救済せずに放置すればそのデフォルトはより早く確実なものとなり、失業者の急増など社会不安も発生する。

こうしたことを考慮すれば、EUとしても救済せざるを得ない。

 

もともと通貨同盟は、欧州で為替交換という余分なコストを排除し、ドル圏に対する競争力を強化するために実現した制度であるから、それを元に戻すメリットはないはず。

しかもGDP規模でいえば、EU全体の2%に過ぎないギリシャを救済することは、それほど困難な課題ではない。ただ、EUの意思決定は国連並みの公平さが保証されているだけに、時間がかかるのはいたしかたないところ。

 

議会の承認が最後になったスロバキアについても、ここでギリシャ救済を否決することは、すなわちスロバキアが危機に陥った時に直ちに自国に跳ね返ってくるから、否決できなかった。
逆に、ドイツやフランスの懸念は、今ギリシャを救済することは、これからも起こりうるアイルランドスペインなどの危機に際して、政治的には拒否できないのに、もっと大規模に救済原資が必要になることだろう。

 

そのため、これら大国は、危機をEU内部だけで解決すべきだと表向きは言っているけれど、本音では、アメリカ中国あるいは日本にも一定の役割を果たして貰いたいのではないか。 

イタリア政府要人は、インタビューに応えて、「あとはドイツが決断するだけ。」だと明言している。

間もなく開催されるG20では、ドイツフランスなどのEUの大国と日米中の話し合いがどう展開されるのかが注目される。

 

 

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大阪都は実現するか?

2011/01/24 20:26

 

 橋下大阪府知事の掲げる「大阪都構想」について、毎日新聞の調査では、賛成は30%だった。橋下知事への支持率も60%と、一時に比べて10%以上下落しているが、都構想の影響かもしれない。

 

 大阪市をなくすという大胆な構想に対して、市民もどう対応していいのかよくわからないといったところ。

 

 経済学には、警察や消防あるいは公園などの公共財を供給するのに、一番効率的な都市の規模はどれくらいか、といったことをテーマとする分野がある。

 規模の経済性の観点から、都市は一定の人口規模が必要だが、あまり大きいと混雑して新たな投資を必要とするので、その中間に最適な規模があるという、当たり前の議論。

 ただ、一定の基準に沿って数値を入れてみても、あまり有意義な数字は出てきていないよう。

 

 いっぽう、現に存在する市町村の統計データで、たとえば同じサービスをするのに、一番職員が少なくてすむ規模はどれくらいかといった分析をした研究があるが、それらによると、おおむね20万人から30万人規模が一番安上がりに公共サービスを提供しているという。

 

 これはあくまでも、「こうあるべき」ではなく、日本の現状は「こうです」というスタンスの研究だから、べき論ではもっと違う数字が出るかもしれない。

 

 橋下知事の大阪都では、大阪市を8の特別区に分割するが、一番多いところで44万人、少ないところで27万人規模を想定しているから、上記のような研究を参考にしているのかもしれない。

 

 そのほか、堺はじめ周辺の市も組み入れて、面積では東京23区と同じ、人口では600万人規模、20特別区の大阪都になる。

 

 公共サービスの提供を効率的にやるとすれば、今の大阪市の規模では大きすぎるから分割したほうがよいという、シンプルな議論が大阪都構想の眼目の一つ。

 

 しかし、明治の初め、大阪府のもとで、大阪の街を東西南北の4区に分割したが、市民の評判が悪く、10年もたたない間に4区は統合されて大阪市になった。

 

 豊臣秀吉が、大阪城の城下町として整備した大阪は、一つの自治体としてそれなりの歴史を持ち、文化も育っていたから、市民としては、その町をバラバラにされることに対して大きな抵抗があったのではないか。

 

 県や市の廃置分合の手続きは、地方自治法という法律で定められており、もし今回の橋下構想を実現するとすれば、この法律に基づいて進められることになる。

 

 ① 大阪府の廃止と大阪都の設置。

 これが、都道府県の廃置にあたるとすれば、法律で定めることになる。総務省は橋下構想には消極的なので、いきなりここで行き詰る可能性が高い。

 府の機能も大きく変わることから、単なる名称変更というわけにはいかないだろう。

 

 ② 大阪市の廃止と特別区の設置

 大阪市を廃止するためには、大阪市からの申請によって大阪府議会または都議会で議決する必要がある。

 大阪市が自ら廃止を申請することはないだろうから、ここでも行き詰まりそう。

 また、特別区の設置も同様の手続きなので、大阪市がよほど橋下構想を支持しない限り、前に進みそうにない。

 

 ③ 住民投票の有無

 これだけのことをやるのに、住んでいる人の意思を聞かずに進めるわけにはいかないが、法律では、ある特定の自治体について特別の法律ができるときには、住民投票をしなさいという規定がある。

 戦後すぐに、首都建設法とか、横浜国際港都建設法といった法律を作ったときには、住民投票が行われた。

 

 先の大阪都の設置が特別法によるなら、大阪府民の住民投票が必要になる。

 ほかにも、たとえば大阪市で「橋下構想阻止条例」といった条例を作ってほしいと住民が直接請求すると、住民投票の手続きが待っている。

 

 地方自治法には「都制」を定めた一般的な規定はあるものの、それを大阪に適用するためには別に法律がいるようだし、大阪市の廃止を、大阪市のほうから、府あて申請しなければ始まらないとなれば、今の状況では、とても実現性はなさそうだ。

 

 もちろん、橋下構想が市民の理解を得ることがまず第一だが、制度的にも大阪市の議会が橋下構想をよほど支持しなければ、難しいのではないかと思う。

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消費税引上げに利用される社会保障改革

2011/01/18 19:27

 

 菅政権は、今年6月までに社会保障のグランドデザインを新たに描き、年金などで不足する財源を消費税に求めることを政権の中心的な施策に位置づけた。

 

社会保障のグランドデザインといっても、すでに小泉政権でかなり精緻な内容が描かれており、現実に今の年金制度や医療保険制度は、それに基づいて運用されている。

 

年金でいえば、基礎年金の2分の1を税で賄うことや、医療制度では後期高齢者医療制度を既存の健康保険から独立させることなど、重要な部分は小泉政権下の経済財政諮問会議でかなり深く議論され、制度化されている。

 

年金では、今後おおむね100年間の収支をとって、100年後に今の積立金がゼロになるように保険料の上限を決め、その範囲で年金給付を行うこととしており、基礎年金の半分を税で賄う議論もこうした条件の中で出てきたもの。

 

もちろん、当時、経済成長率を3%に設定していたから、その前提が崩れており、もう一度一から計画をやり直さなければならないという批判もあるが、それでも、全く異なる思想で年金の仕組みを考えるというのはなかなか難しいのではないか。

 

民主党は、マニフェストで全額税方式の新しい年金制度を提案しているが、今の精緻な年金の仕組みを簡単に変えるメリットがわかりにくいし、仮に変えるとして、現行制度からのソフトランディングが可能なのかどうか。

 

そうなると、結局、現行制度を基本とせざるを得ず、給付額や給付開始年齢などの微調整に終わる可能性が大きいい。

そして負担についていえば、一部を保険方式、一部を税金とする以外に選択はなく、その按分をどの程度にするかという議論になるのではないか。

 

その結果、税負担を増やす必要が出てくれば、その増分はすべて自動的に消費税の引上げでまかなうという乱暴な結論になりそうな気配もする。

 

しかし、消費税にジャンプする前に、将来的には一定とした保険料の弾力化、あるいは、最高税率75%から40%に落ちた所得税の見直しなども検討すべきだし、給付側では、給付開始年齢の調整なども、大きな課題になるはず。

 

年金以外では、医療保険制度の見直しもするのだろうか。

後期高齢者医療制度は、国民健康保険の過大な負担を軽減する制度としてかなり有効に機能しており、これをまた一から見直すのは、行政の無駄ではないか。

 

そういった、前提となる議論もあまりせず、ただただ消費税を上げるだけが目的のように見えて仕方がない。

あの大平首相や中曽根首相でさえ導入できなかった消費税を、いたずらに弄ぶのは、危険すぎるのではないか。

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経済産業大臣のTPP反対

2011/01/10 21:43

 

経済産業大臣が、TPP推進に消極的な理由がよくわからない。

貿易、とりわけ輸出を振興して日本のGDPを拡大し、経済成長に貢献するのが経済産業省

その貿易拡大を首相自ら旗を振って進めるというのだから、経済産業省の省益を拡大する絶好の機会だと普通には思える。

 

日本がTPPに参加すれば、アメリカの輸入関税がゼロになるから、技術面で有利な日本製品を今より低価格で販売できる。

また、アメリカと自由貿易を確立できれば、それにつれてEUとも同様の枠組みが実現する可能性が高い。

韓国はすでにアメリカとのFTAを締結し、日本に先んじているから、韓国に追いつくためにも、早期にアメリカとの協定を結びたいところ。

 

世界貿易促進の枠組みとしてはWTOがあるが、ドーハラウンドが暗礁に乗りあげてから、その間を縫うように各国が地域間、二国間の自由貿易協定を結びつつあり、むしろ現在ではWTOより、こちらのほうが一般的になっている。

 

TPPもその一環で、環太平洋の小国同士の関税ゼロ同盟として発足したが、その後アメリカ豪州が参加することによって、環太平洋地域の枠組みの主役になりそうな勢い。

 

日本は、はじめ、二国間協定やアセアンとの地域協定を重視していたが、TPPの進展を見て、バスに乗り遅れまいと急に動き出そうとしているところ。

 

しかし、主役であるはずの経済産業省は、相変らず二国間協定を重視しているようであり、TPPには関心がなさそう。

おそらく二国間協定のほうが、経産省以外の省が所管する分野への影響を少なくできるからではないか。

 

TPPになると、原則すべての分野でゼロ関税であり、そのほかに農産物にまつわる規制緩和、あるいは人的交流の規制緩和など、日本にとって、一朝一夕に解決できない課題を引きずることになる。

そして、結果として経産省本来の関税撤廃もできなくなる可能性が大きいからではないか。

 

二国間協定であれば、他の国との実績を示しながら、最低限の市場開放で、相手国市場の開放を勝ち取ることができると考えているのかも知れない。

とりわけアメリカとは、農産物交渉の壁は高いが、人的交流では大きな課題もないから、交渉が始まればTPPよりは実現が早そう。

 

TPPを促進するには、コメや牛肉をはじめとする農産物の問題、看護や介護分野での外国人労働者への市場開放など、大きなハードルがあり、菅首相がすすめるといっても、環境が整うかどうか。

そうした現実的な視点に立つと、経済産業省としては無条件に賛成するわけには行かないのかもしれない。

 

しかし、菅首相は、消極的な今の大臣を交代させてでも実現にひた走るらしい。

TPPという派手なアドバルーンを揚げて挫折するより、地道で堅実な二国間協定をすすめたほうが、結果が伴うのではないかと思う。

 

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11年度予算と景気

2010/12/18 11:25

 

 菅首相は、11年度税制改正で、1.5兆円見当の法人税引下げにより、あたかも景気がよくなり雇用が増加するという説明をしているが、その分個人所得税を増税しているので、景気に対しては中立。

 

 財政政策によるGDPの引き上げは、政府が借金をして支出を増やすか、減税によって国民の可処分所得を増やすかに限られている。

 

 このほか、金融政策によって企業の投資を促したり、規制緩和によって個人や企業の経済活動の制約をなくすることもGDP拡大のための政策手段。

 

 しかし今は、十分に金融緩和されているので、これ以上の緩和政策はあまり効果がないといわれている。

 

 じつは、規制緩和が一番効果的な手段かもしれないが、小泉内閣時代にドラスティックに進んだとされる規制緩和はいまほとんど検討されていない。

 

 結局、伝統的な財政政策しかないが、予算の赤字計上分が、景気に対してプラスの効果があるとすれば、年々ほぼ20兆円前後。 20兆円の赤字分が乗数効果を通じて何倍かのGDP増分になる。

 

 もし、来年度予算でその赤字分が1兆円増加すれば、その何倍かのGDPが、今年度より増加するから、その分景気は上向くと考えられる。

 

 乗数効果は、きわめて大雑把な計算で、産業別の波及の状況や、波及のスピードなどは捨象されているから、赤字分をどう使えば一番効果的かは、わかりにくい。

 

 ヒントになるのは、産業連関分析における影響力係数。

これは、ある産業が持つ他産業への影響力で、自動車や電気製品のように部品の多い産業は必然的に係数値は高くなる。

 

 今日本でこの係数が高いのは自動車の1.47で、自動車産業を支援すれば、他の産業より速く、広く効果が出る可能性が高い。

 

 確かに、今年多少景気が回復したのは、エコカー補助による自動車産業の回復が大きいといわれている。自動車工業会の見込みでは、来年の売り上げは今年の10%減で、景気回復の足を引っ張りそう。

 

 来年度予算には、この一番効果が期待される自動車産業への支援はない。

 景気回復ひいては雇用回復のために何が必要か、といったことがあまり議論されておらず、子供手当や高速道路無料化など、民主党トラウマともいうべき項目にこだわりすぎているように見える。

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諫早の農業用水はため池で?

2010/12/11 07:11

 

諫早湾干拓事業の潮受堤防が、干陸地からはるか沖合に設置されているのは、2002年に干陸地の計画面積が1654ヘクタールから816ヘクタールと、ほぼ半分に縮小されたから。

 

元の計画どおりならば、すでに完成している陸地に接して、同じような形と面積の陸地が沖合に造成されるはずだった。

 

しかし、コメ減反政策の影響で、土地を造成しても需要がないことが明白になり、農水省も計画変更せざるを得なかった。

 

戦後の日本では、農業振興を目的とした大きな干拓が八郎潟、中海そして諫早と3事業あるが、そのうち当初計画どおり完成したのは八郎潟だけ。

 

八郎潟は、1957年から20年かけて、面積約220k㎡を干拓して約170k㎡の農地を生み出し、1経営主体あたり15ヘクタールという広大な農地での大規模農業を実現した。

干拓地自体が大潟村という自治体になり、あきたこまちなどブランド米の生産の中心地として発展、現在に至っている。

 

まさに日本の高度経済成長下の事業で、コメ需要が拡大するなど、農業をめぐる情勢も事業に対して追い風となった時代の成功事例。

 

島根県の中海干拓事業は、八郎潟からやや遅れて1963年から始まり、中海沿岸5か所に485ヘクタールの干拓地が完成。

その後、最大の計画対象地造成のために、堤防で中海を仕切って淡水化をすすめようとしたところ、中海や隣接の宍道湖での水質悪化などから反対運動が起こり、92年に事業が中断。

2000年になって、公共事業見直しの対象となり、廃止に追い込まれている。

 

そして諫早湾干拓事業

これも、コメの減反政策の進展で計画縮小となったうえ、今後、判決を受けて延長7キロの潮受堤防の水門は常時開門することになり、当初の計画とはかけ離れた結果になってしまった。

 

干拓事業は、堤防を建設して水面を締め切ったのち排水し、陸地を生み出していく手法で、事業期間がどうしても長期にわたる。

その間、コメに対する需要減やその結果としての減反など、背景となる社会経済情勢が大きく変化してしまうと、陸地ができても使い道がなく、また、水質の悪化など環境破壊も進むため、事業自体の意義が失われる。

 

八郎潟はまだ、コメに対する需要が拡大する時期に事業が行われたが、あとの2事業は減反政策の中で新たな土地を作り出すという、基本的な矛盾のもとで事業が進められたために、結局変更や廃止を余儀なくされた。

 

中海にしても、諫早にしても、当初米をあてにしていたが、実際に生産されているのは、ほとんどが豆や野菜などの畑作と果樹が中心で、コメの増産という当初の事業目的は失われてしまっており、果たして、巨額の事業費をつぎ込んでまで干拓する必要があったのかという素朴な疑問すら生じる。

 

諫早は、これから水門が開くと調整池に海水が浸入し、調整池の水は農業用水には使えなくなるため、水が確保できず農業が成り立たなくなることが懸念されている。

 

中海の場合も、淡水化が頓挫したあと、同じ問題に直面したが、完成した干陸地にため池を造成することで、農業用水を確保している。

諫早の場合も、中海と同様野菜など畑作が中心なので、おそらくため池を造成することで水は確保できるのではないか。

 

今回の判決は、どちらかというと農業振興というよりは諫早湾の漁業復活の視点に立つ。

開門によって潮流が復活し、河川からの富栄養水の湾への流入が始まれば、諫早湾の漁業はやがて回復する可能性が高く、そのためにも、一刻も早い農業用水問題の解決が期待される。

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基礎年金の財源は消費税以外の税で

2010/12/01 22:03

 

日本の公的老齢年金保険については、その名称の通り保険だという見方もあれば、一種の所得再分配政策だという見方もある。

 

前者は、高齢化という保険事故に際して、納付した保険料に見合った額の保険給付を受けることができるが、保険料を納めなければ老後の保障が受けられず、国が運営する社会保険として不適切という問題がある。

 

一方後者は、所得再分配政策の観点から、国民全体があまねく老後の社会保障を受けられるように、一部を保険と切り離した給付金の形にし、保険料の納付の有無にかかわらず一定額の給付を実現しようとするもので、その財源は納めた保険料ではなく、税金とすることが適当とされる。

 

日本の年金制度は、制度発足当初は前者の考え方、現在では、一部で後者の考え方を取り入れており、基礎年金は、その財源の半分を税とした給付金的な性格を持っている。

 

考え方の転換のきっかけとなったのは、少子高齢化の進展による年金財政の悪化であり、保険料のみによる給付では、いずれ年金財政が破たんする恐れがあったため、一部を税金で賄うこととしたのが実情。

 

そして、基礎年金の半分を税でまかなうことを前提に、おおむね100年で保険料の積立金がゼロになる、すなわち100年で収支が均衡するような長期の試算を行っている。

すなわち、基礎年金の半分を税金でまかなわなければ、日本の年金税度は100年持たないということである。

 

今回、財務省が提案しているのは、この税金による負担を一時的にもとの36.5%(1/3+32/1000)に引き下げたいとするもので、とりあえず23年度予算に限るというが、実際には、消費税引き上げによる財源確保ができるまでになるだろう。

その間の不足は、現在の積立金約172兆円を一時的に取り崩して充当することとしている。

 

厚生労働省は、基礎年金の半分を税で賄う制度は、年金を所得再分配政策に位置づけるという重要な意義があるところ、わずか2年で覆すと、年金に対する不信感の増幅によって、保険料の納付率低下がいっそう進み、年金財政がますます悪化する恐れがあると考える。

 

したがって、財源構成の変更はたとえ一時的であっても認められないという立場。

 

財務省は、消費税引き上げを前提にした暫定的な方法であること、消費税引き上げ後は必ず取り崩した積立金を補てんすることなどを理由に、厚生労働省を押し切ろうとしているようだ。

 

積立金は、2001年以降大蔵省による運用から厚生労働省の自主運用に変わったが、その間の収益がプラスになっていることも財務省側の動機になっているようだ。

とりわけ2009年度は、株式の値上がりなどで9.2兆円も運用利益を出しており、財務省としては、一時的にその利益の一部を立替財源にしたいと考えたのではないか。

 

厚生労働省としては、営々と生み出した運用利益をみすみす税の減収の補填に充当したくないというところ。

 

基礎年金に対する考え方の一貫性からいえば、ここは枠組みを安易に変更せず、制度を維持すべきではないか。

むしろ財務省としては、不足分を税でまかなえるよう税制を変えていくべきだと思う。

 

もちろん消費税を引き上げることはできないとしても、すくなくとも累進性の低下した所得税などを対象にする可能性もなくはないのではないか。

 

個人所得税は最高税率が75%から40%に下がった結果、20兆円あった税収が21年度では景気のせいもあるが12兆円にとどまっており、所得税の累進性を少しでも元へ戻すなど、恒久的な観点に立って必要とされる2.5兆円を確保すべきではないか。

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